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BCPコラム

関東大震災から100年。首都直下地震に備えて企業はBCP対策を

2023.09.05更新

1923年9月1日の関東大震災から100年が経ちました。今日、日本は首都直下地震や南海トラフ地震など、巨大地震のリスクが依然として高い状況にあります。
このような背景から、企業にとってBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は必須の取り組みとなっています。この記事では関東大震災から得られる教訓をもとに、BCPの重要性について考えてみましょう。

関東大震災の被害と影響

関東大震災は、1923(大正12)年9月1日正午2分前に日本の関東地方で発生しました。近代化した首都圏を襲った唯一の巨大地震であり、南関東から東海地域に及ぶ地域に広範な被害が発生、関東地方の多くの都市が壊滅的な被害を受けました。この地震はマグニチュード7.9とされ、木造建築物が多かった当時の日本では、多くの家屋や建築物が崩壊し、鉄道、道路、橋などのインフラも大きな被害を受けました。

地震で火災が発生し、これがさらなる被害を拡大させました。特に東京では、火災によって多くの地域が焼失しました。

死者・行方不明者は合わせて105,385人、負傷者も多数出ました。

地震後は、混乱で一部での略奪、暴動、無宿者の増加などを引き起こし、デマの拡散や、社会的な緊張・偏見から朝鮮人や中国人などの少数民族に対する虐殺が一部で発生。このように、関東大震災は多方面にわたる深刻な影響をもたらしました。

物的被害

  • 関東地方の多くの都市が壊滅的な被害。
  • 木造建築物が多かった当時の日本では、多くの家屋や建築物が崩壊。
  • 鉄道、道路、橋などのインフラも大きな被害。

人的被害

  • 死者・行方不明者は合わせて105,385人。負傷者も多数出る。

火災

  • 地震による火災も発生し、これがさらなる被害を拡大。特に東京では、火災によって多くの地域が焼失。

社会・経済的影響

  • 地震後の混乱が、一部での略奪、暴動、無宿者の増加などを引き起こす。
  • 地震は日本経済にも大きな影響を与え、復興には長い時間がかかる。

差別と偏見

  • 地震発生後、デマの拡散などにより朝鮮人や中国人などの少数民族に対する虐殺が一部で発生。これは、当時の社会的な緊張と偏見が背景にあったとされている。
東京市火災動態地図(9葉を1枚にした図)延焼火災と飛火【防災情報のページ – 内閣府より】

災害から得られた教訓と現代への適用

災害から私たちは何を教訓として、現代まで残してきたのでしょうか。

災害の教訓

  1. 建築基準の見直し
    当時の木造建築は地震に弱く、多くの建物が崩壊しました。これを受けて、建築基準が見直され、より耐震性の高い建築物が求められるようになりました。
  2. 防災意識の高まり
    関東大震災は、多くの人々に防災に対する意識を高めるきっかけとなりました。
  3. 緊急時の情報伝達と指導体制
    当時、効率的な情報伝達や緊急時の指導体制が不足していたことが明らかになり、その後の防災計画に反映されました。
  4. 社会的な偏見と差別
    関東大震災後の混乱を背景に、朝鮮人や中国人などに対する不当な暴力が発生しました。これは、災害時における社会的弱者への配慮と、偏見や差別を助長しないような教育が必要であるという教訓を提供しています。

現代への適用

  1. 耐震設計
    現代の建築においては、耐震設計が一般的になっています。これは関東大震災などの過去の地震から得られた教訓が反映されています。
  2. 防災教育と訓練
    学校教育や企業、地域社会での防災訓練が積極的に行われています。
  3. 災害情報の即時配信
    現代のテクノロジーを活用して、地震発生時の緊急警報や避難情報が迅速に配信されるようになっています。
  4. 多文化・多民族への配慮
    災害時における多文化・多民族社会への配慮が進んでいます。これには、多言語での情報提供や、偏見や差別を防ぐための取り組みが含まれます。
  5. 地域社会との連携
    地域社会と行政、企業、NPOなどが連携し、災害に備える体制を強化しています。

以上のように、関東大震災から得られた教訓は、現代の防災対策や社会制度に多く反映されています。しかし、完全な防災は難しく、常に改善と進化が求められています。

首都直下地震のリスク

首都直下地震が起こる確率

首都直下地震の発生確率は、多くの研究によって様々な見解が存在しますが、地震調査研究推進本部地震調査委員会では、首都直下地震で想定されるマグニチュード7程度の地震の30年以内の発生確率は、70%程度(2020年1月24日時点)、内閣府「首都直下地震対策検討ワーキンググループ最終報告の概要」によると、最大で死者が約2.3万人、建物の全壊及び焼失棟数が約61万棟、経済被害は、建物等の直接被害だけで約47兆円と試算されています。

想定される影響と被害

人的被害

  • 死者数は最大約2.3万人にも上ると予想。負傷者や避難者も多数発生する可能性がある。

物的被害

  • 建物の被害として、約61万棟が全壊または焼失。
  • 電力供給に関しては、発災直後において半数の地域で停電が発生し、一週間以上も安定しない状況が続く。
  • 通信インフラでは、固定電話と携帯電話の両方で通信量が集中し、9割の通話が1日以上制限。また、メールの遅延も生じる。
  • 上下水道のサービスにおいては、都心部で約50%が断水し、約10%で下水道が使用不可能になる。
  • 交通面では、地下鉄は1週間、私鉄と在来線は約1か月での復旧が見込まれる。主要道路の開通には少なくとも1〜2日必要とされ、その後は緊急輸送路として利用。都心部の一般道路は、瓦礫や放置車両によって深刻な交通渋滞が発生。
  • 港湾設備については、非耐震性の岸壁では多くの場所で機能が失われ、復旧には数か月かかる。
  • 燃料供給においては、油槽所や製油所での備蓄は存在するものの、タンクローリーの不足や交通渋滞などの影響で、非常用発電用の重油を含め、軽油やガソリンの供給が困難な状況になる。

経済的影響

  • 経済被害は合計約95兆円。建物等の直接被害:約47兆円。生産・サービス低下の被害:約48兆円。
  • 首都圏が日本の経済の中心であるため、大きな経済的な影響が予想される。
  • 企業の業績にも深刻な影響を与え、失業者が増加する可能性も考えられる。

社会的影響

  • 交通機関の混乱や物資の供給不足が生じる可能性がある。
  • 災害時のパニックや混乱が治安を悪化させる可能性がある。

首都直下地震のための備え。企業はどうするべきか?

企業が備えるためのBCPとは?

首都直下地震のような自然災害のほか、テロ、システム障害など、予期せぬ事態はいつでも発生する可能性があります。そのような緊急事態に企業はどのように対処するか。事前に計画しておくことが非常に重要であり、そのためのフレームワークがBCP (Business Continuity Plan:事業継続計画) です。

BCPとは、企業が災害や緊急事態が発生した際に、業務を継続するための計画です。目的は、最小限のダウンタイムと損失で業務を再開・継続することです。

なぜBCPが必要か?

  • 業務の継続性: 災害が発生した場合でも、顧客へのサービス提供を維持する必要があります。
  • 信頼性の確保: 事前に計画をしていることで、顧客やパートナーからの信頼を得られます。
  • 経済的損失の最小化: 効率的な対応が可能となり、損失を最小限に抑えられます。

BCPは、企業だけでなく、各種組織や個人にとっても非常に重要な計画です。企業を守り、社員を守り、パートナーや地域、社会を守ることになります。予期せぬリスクに備え、しっかりとしたBCPを作成しておくことで、多くの問題を未然に防ぐことが可能です。

参考サイト

  • 報告書(1923 関東大震災) : 防災情報のページ – 内閣府
  • 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)‐内閣府防災情報のページ
  • 国土交通白書 2020 地球環境・自然災害に関する予測 巨大地震のリスク