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BCPコラム

戦争とテロ対策

2022.09.03更新

戦争やテロがあった場合のBCP、対応できていますか?

皆さんは一般的に使用される契約書の不可抗力条項までしっかり読んだことがあるでしょうか。

不可抗力条項には、「戦争」「テロ」「暴動」「内乱」など、物騒な文言が羅列されていることが多いです。不可抗力条項は、責任の所在を明確にするため(当然に免責を主張するため)には必要な条項のため、事業を継続するには重要な条項になります。

このような不可抗力条項に注目するようになるほど、現在では周辺国が戦争を始めてしまうリスクが現実的になっています。 ロシアとウクライナの戦争、または日本の周辺国の動きを見ていると、備えて損することはありません。

戦争に巻き込まれた場合やミサイルを撃ち込まれてしまった場合などの被害想定、自社の事業に与える影響、事業を停止しないための対応はどのように備えたら良いでしょうか。

全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令

令和4年10月4日、北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受け、全国瞬時警報システム(以下「Jアラート」)が発令されました。

これは平成29年8月の北朝鮮による弾道ミサイルの発射以来となりますが、具体的にどう対応したら良いかもわからず、不安を感じた方も多かったのではないでしょうか。

Jアラートとは

Jアラートとは、総務省の資料によると「弾道ミサイル情報、津波警報、緊急地震速報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を国(内閣官房・気象庁から消防庁を経由)から送信し、市町村防災行政無線等を自動起動することにより、国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達するシステム」と説明されています。

現在、Jアラートは国内のほぼ全ての自治体で整備されています。

また、「全国瞬時警報システム(J-ALERT)の全国一斉情報伝達試験」は平成24年度より毎年行われています。
全国瞬時警報システム(Jアラート)全国一斉情報伝達試験 過去の試験結果 総務省消防庁

Jアラートに対する企業の意識調査について

今回は、Jアラートに対する企業の意識調査について、NTTレゾナント株式会社が2017年8月28日当時に発表した「企業の防災意識と取り組みに関する調査」の調査結果を紹介したいと思います。

調査は、2017年7月28日から2017年8月2日の間、インターネット調査の方法にて行われました。
調査対象は、自営業・フリーランスを除く、企業の会社員(防災担当者)、会社役員、会社経営者。
小規模企業(従業員数1~99人)の回答が553人、
中規模企業(従業員数100~999人)の回答が552人、
大規模企業(従業員数1,000人以上)の回答が550人の合計
1,655人の回答結果を集計されたものです。

調査の中で、Jアラートに関する質問は主に次の3点でした。

1.「Jアラート」をご存知ですか。

「Jアラート」の認知度に関する質問に対して、「知っている」との回答は、企業規模による差はなく、約80%。 テレビCM等で周知されたことも、当時影響しているのかもしれません。

2.「Jアラート」の通知が来た際に企業規模で対応すべきと思うか。また、通知が来た時の対策を決めているか。

調査結果によると、Jアラートの通知が来た際には、各企業規模で「対応すべきと思う」の回答が80%を超えていました。その一方で、Jアラートの通知が来た時の対策を決めている企業は、当時、大規模企業で24%、中規模企業で17%、小規模企業で14%という結果だったようです。

対応すべきという意識の高さと比較すると、具体的な対策を決めている企業は少ないように思います。

3. 各災害項目に対する防災対策の意識について。

Jアラートはミサイル以外に、地震などの場合にも発令されます。 各災害項目(地震、火災、大雨、テロ)に対する防災対策の意識についての調査では、とりわけ地震とテロへの意識について、興味深い調査結果となっていましたので紹介します。

地震に対する防災対策の意識調査では、70%以上の企業が「非常に意識している」、または「やや意識している」と回答しています。 南海トラフ地震や東海地震、首都直下型地震などがいつ発生してもおかしくない中で、当然の結果と思われます。

一方、テロに対する防災対策の意識調査では、50%以上の企業が「どちらともいえない」、「あまり意識していない」、「全く意識していない」と回答していました。 特に小規模企業では「意識している」という企業が22%しかないという結果となっていました。

確かに地震の方が具体的な脅威として認識されることは理解できますが、テロもいつ発生してもおかしくないという点では同じではないでしょうか。

ロシアとウクライナの戦争から考えるBCP

ロシアとウクライナの戦争を見ると、戦時下であってもロシアとウクライナの状況はかなり異なっています。

今回は戦地がウクライナのため、ロシアでは現状、事業を継続できる可能性は十分にあると考えられます。ただ経済制裁などをもろに受けている一部の会社では事業継続が困難になる可能性があります。

一方のウクライナでは地域によって状況がかなり異なります。戦地となっている東部や南部地域、戦争初期に戦地となりかけたキーウ周辺も含めて多くの避難民が出ました。 この状況だと周辺地域で事業を継続することは困難になります。ただ、また別の地域では現地にとどまり様子を見る人もいました。

日本の企業でも、ウクライナに拠点を構えて現地の従業員を採用していた場合、従業員の安全と事業の継続をどのようにするかのかじ取りはとても難しかったのではないでしょうか。

これらを総合して考えると、国が戦争となったとしても必ずしも会社が事業が停止するということにはならないことがわかります。 また会社の事業内容によっても、戦争の状況によっても複雑に状況が変わってきますので、その対応は難しくなります。

結果に着目して対応する

戦争は事業継続において複雑な条件が重なり合ってきます。このような場合、戦争という1つの原因から考えるのではなく、地震やテロの場合と同様に、結果に着目して対策を講じることでBCPが有効になります。

戦争やテロなどが今後起こるリスク踏まえたうえで、もう一度BCPを見直し、検討されてみてはいかがでしょうか。 具体的なBCPのコンサルティングをご検討の企業様は一度お問い合わせください。