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BCPコラム

組織再編と廃業(事業停止)リスクの事例

2017.10.17更新

今回は、「組織再編と廃業(事業停止)リスク」について、組織再編から生じる廃業リスクや事業の停止リスクの具体的な事例とその対策について書いていきます!

組織再編から生じる廃業リスク

前回の記事で書いたとおり、許認可には承継することが想定されているものと、想定されていないものとがあります。
リスクを伴うのは、当然ですがほとんどが後者の場合です。

組織再編を行った結果、廃業せざるを得なくなってしまう具体的な事例を紹介します。

①許可権者(知事か大臣か)が変わることにより、許可要件を満たさなくなってしまったケース

例えば、建設業許可や宅建業免許などで知事許可(免許)をもっている会社が組織再編によって大臣許可(免許)になる場合には注意が必要です。
大臣許可(免許)から知事許可(免許)となる場合も同じです。

同じ許認可でも、許可要件について知事が許可する場合と大臣が許可する場合とで考え方が異なるところが多々あります。
結果、知事では当然に認められていたことが大臣では認められない、大臣では認められていたことが知事では認められないなんてことがあり、新たに許認可の取得ができないということがあります。

②既得権によって現在の許可が有効であるケース

例えば風営法の許可などでよくあることなのですが、風営法の許可を得るためには、一般的には近隣に学校や入院施設を有する病院等(保護施設)が無いことが必要です。

許可を取得した時にはこの要件をクリアしていたのに、組織再編に伴って別会社で許可を取り直そうとしたら、近隣に学校や入院施設を有する病院ができていたために許可が取れないなんてこともあります。

③古い許認可を承継しようとするケース

古い許認可を承継しようとすると、取得当時は緩かった許可要件が今は厳しくなっているといった場合があります。

例えば更新という手続きが存在しない運送業の許可などで、今の要件で厳密に計算すると車庫面積が若干足りないのに、許可を取得した当時は問題なかったのか、違法?な状態で合法に許可を保有している会社が存在します。

そのような状態で運送業の組織再編に係る認可申請をする場合、当然に今現在の許可要件を満たす必要があるので、減車が必要になったり、認可が下りないことも考えられます。

廃業リスクを回避する方法

廃業リスクを回避するためには、まずは組織再編を行った後も問題なく事業を継続できるかどうかの十分な検討と手続きのシミュレーションが必要です。
特に許認可の承継では、ひとつの小さな見落としが全体に大きな影響を与えることが多いからです。

廃業リスクを伴うような場面では、よほどの目的がない限りは組織再編そのものを見直すことになるでしょう。
特に上記②に該当する場合は、同じ場所では別会社で許可を取ることができませんので、組織再編そのものを再検討する必要があります。

最も恐ろしいのは、許認可の承継を甘く見て組織再編を進めてしまった結果、許認可を要する事業を廃業することしか選択肢が無くなってしまうことです。
廃業リスクを回避するため、早めに行政書士さんの意見も確認されたうえで、最終的に目的が達成できるか否かについてしっかり検討ください。

組織再編から生じる事業停止リスク

廃業に至らなくても、許認可の承継に失敗して事業が停止するケースはたくさんあります。例えば、次のような事例が考えられます。

①スケジュールがタイト過ぎて、存続会社や承継会社における許認可の整備が間に合わないケース

このケースは非常に多いです。許認可を承継する手続きが無い場合は、存続会社や承継会社において新規で許認可を取得する必要があるため、それだけで2ヶ月〜3ヶ月かかってしまいます。
さらに、大規模な組織再編ともなると許認可の申請準備だけでも数ヶ月かかってしまうこともあります。

容易に想像できると思いますが、組織再編の効力発生日を3ヶ月後と決定されてから行政書士さんを探して、許認可の承継の話を行政書士さんに相談した時点で、高確率でこのパターンにハマります。

その結果、効力発生日を遅らせたり、事業の停止期間が発生したりするわけです。

②存続会社や承継会社での許認可取得のために、合併で言えば消滅会社、分割で言えば分割会社の許認可を犠牲にするケース

これもよくあるケースですが、組織再編の効力発生と同時に存続会社や承継会社で許認可を必要とする事業を行うため、存続会社や承継会社において許認可の申請をする場合、とりわけ人的要件を整備するために、消滅会社や分割会社の人を先行して存続会社や承継会社に出向等で移す方法が考えられます。

先行して人を移した結果、消滅会社や分割会社において現在保有している許認可の要件を欠いてしまい、効力発生日の何ヶ月も前から「廃業」という苦渋の決断をしなければならない場合があります。

その結果、効力発生日前の数ヶ月間、消滅会社や分割会社の事業が停止してしまうのです。

事業停止リスクを回避する方法

組織再編による事業の停止を避けるためには、やはり十分な時間をかけて、事業を停止させなくて済むようなスキームを組み立てる必要があります。
また、組織再編を検討する段階から行政書士さんの意見も確認することです。①のケースは、これだけでリスクが回避できます。

②のケースはなかなか難しい問題ですが、組織再編の前後に、消滅会社や分割会社、存続会社や承継会社でそれぞれ許認可の要件を満たすことが困難な場合は、申請のタイミングや申請を予定している営業所の数、車両の数等を工夫すると、リスクを回避できる場合があります。

具体的な方法は各企業の事情や承継の対象となっている許認可によって異なりますので、経験豊富な行政書士さんに早めに相談されることをおすすめします。
必ず回避できるとは限りませんが、どんな状況でも、リスクを回避できる可能性があることだけは憶えておいてください。

最後に

今回はBCPと少しテーマが外れていますが、企業の健全な事業継続を目的として、組織再編に伴う企業の廃業リスクや事業の停止リスクを知ってもらう趣旨で書いてみました。
ご参考になれば幸いです。