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BCPコラム

2023年全銀システム障害からみるBCP見直しのポイント

2023.11.13更新

全銀システムの大規模障害

2023年10月10日~11日、日本の金融業界は全国銀行データ通信システム(全銀システム)の大規模障害に直面しました。このシステムは、国内金融機関の間でデータ通信の中核を担っており、その障害は広範な影響を及ぼしました。

NTTデータは、障害の原因として中継コンピューター(RC)上で金融機関名を参照するためのテーブルを構築する生成プログラムに不備があったことを明らかにしています。要するに、ソフトウェアの欠陥がシステム障害の根本的な原因でした。

全銀協の加藤勝彦会長は、50年間トラブルがなかったことで過信が生まれ、事業継続計画(BCP)が形骸化した可能性を指摘しました。これは、長期間にわたる問題のない運用が、組織内でのリスク管理と事業継続計画の重要性の認識を低下させたことを示しています。

NTTデータグループの社長は障害に対して謝罪し、重要システムの総点検を実施することを発表しました。

BCPの強化とその必要性

この障害は、システムの安定性への過信が、重要なリスク管理と事業継続計画(BCP)の軽視につながる危険を浮き彫りにしました。金融機関は、システムの脆弱性を常に認識し、定期的な点検、テスト、更新を行う必要があります。さらに、事業継続計画(BCP)を定期的に見直し、アップデートすることも不可欠です。特に、システムの障害時におけるコミュニケーション計画や代替手段の準備は、事業の継続性を保証する上で重要なポイントです。

BCP見直しのポイント

①リスク評価と脆弱性の特定

システムの安定性を過信せず、定期的なリスク評価を行う。

②事故発生時の対応計画

障害が発生した場合の具体的な対応手順と責任者を明確にする。

③通信計画の確立

内部および外部のステークホルダーとのコミュニケーション方法を定める。

④代替システムの準備

主要システムがダウンした場合に備えて、代替システムを用意する。

⑤従業員のトレーニングと意識向上

BCPの内容を従業員に周知し、定期的なトレーニングを実施する。

まとめ

全銀システムの障害は、現代の金融業界におけるリスク管理と事業継続計画(BCP)の重要性を再認識させる出来事でした。今後、金融機関はこれを教訓として、より堅牢で効果的なBCPを構築し、継続的に更新し続ける必要があります。特に、技術的な変更やアップデートに際しては、全銀システムのみでなく、どんな企業においてもその影響を総合的に評価し、万全の対策を講じることが必要です。